パリ近郊のカントリーライフ

スガンさんのやぎ(風車小屋だより)

先週のフリマで買ってきた絵本で、風車小屋だよりをご紹介しましょう。
アルフォンス・ドーデの風車小屋だよりは、南フランスのプロヴァンス地方の自然と人々の生活を題材にした短編集です。
輝く太陽と豊かな自然、そこに住む頑固でおおらかなプロヴァンス人たち。
なかでもこのスガンさんのやぎはフランス人なら必ず知っているお話です。
この白やぎはブランケットという名前ですが、いまや白いやぎの代名詞。(日本ならイヌのポチ、ネコのミケですね)

物語はパリの詩人である友人への教訓話として語られます。
おひとよしのスガンさんはやぎをいつも失くしてしまいます。
どんなにかわいがってもやぎは綱を切って山に行き、狼の餌食になってしまいます。
6匹なくしたあとで、また懲りずに7匹目を手に入れました。
この若い白やぎは白い毛皮にかわいい角の美しく人懐っこいやぎでした。
庭の草地の一番美しい場所につないでやると、うれしそうに草を食べるのでした。
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でもブランケットは山を見上げては、あそこにいったらきっと楽しいだろうと思うようになりました。
やぎは退屈したのです。
そこでスガンさんに山に行かせてくれと頼みます。
スガンさんはすっかりがっかりして、ブランケットに山の狼のことを語りますが、ブランケットは耳を貸しません。


f0044892_4185825.jpg怒ったスガンさんはブランケットを狼の餌食にしないために、暗いヤギ小屋に閉じ込めて扉を閉めてしまいます。
でも閉め忘れた窓からブランケットは逃げて山へ行ってしまいます。

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山はやぎを女王様のように迎えました。
栗の木は枝を伸ばして美しい毛皮をなでようとし、花の茂みは道をひらいて薫り高くやぎを歓迎します。


f0044892_420994.jpg自由になったやぎは薫り高い草の上で跳ね回ります。
花の上でころげまわったり、全力であちらこちらと走り回ったり、まるで何匹も白やぎがいるように思えるほど。
あんな小さな庭に縛り付けられていた自分がおかしくて、涙が出るほど笑います。


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山では野ぶどうを食べていたカモシカたちとも出会います。
そのうちの一頭と森を散歩して甘いひとときも過ごします。
でもだんだんと夜の帳が落ちはじめました。
遠くスガンさんの家からはやぎを呼び戻そうとラッパの音が響きます。
帰っておいで、帰っておいで。
やがてラッパの音も絶え、夜が訪れます。


f0044892_422471.jpgやがて、暗闇に二つの大きな耳と二つのぎらぎらと輝く目が浮かび上がります。
狼が現れたのです。
ほほう、スガンさんのとこのやぎのお嬢さんだね。
大きな赤い舌が口をなめまわします。

続きは岩波文庫でどうぞ。



ブランケットはもうだめだと思いましたが、スガンさんの勇ましいやぎとして最後まで戦います。
角を低くして、何度も何度も狼を退却させます。
ブランケットが思うことはただ、夜明けまで戦い続けること。
かつて狼に食べられたほかのやぎが一晩中戦い続けて、朝になるまで食べられなかったことを聞いていたからです。
戦いの合間に空を見上げて、夜が明けるのを待ち続けます。
そしてとうとう夜明けの光が地平線にさした時、血に染まった毛皮を投げ出して、狼のえじきになったのでした。

というわけで、ハッピーエンドではないのですが、美しい文章で書かれたこの短編は詩のように美しく、岩波文庫の名訳が出ていますのでぜひ図書館や本屋さんで見つけてくださいね。
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by xthneh5d | 2007-06-08 04:12 | 本と映画 | Trackback | Comments(8)
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Commented by Mrs.W at 2007-06-08 07:53 x
最後は胸がキュンとなる話ですね。
でも色々と考えさせられました。
大阪に個展を見にこられるのなら 是非連絡くださいね。
私も個展会場に駆けつけます。
楽しみだわ~~~~ワク((o(=´ー`=o)(o=´ー`=)o))ワク
Commented at 2007-06-08 07:55 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by nonnakaori at 2007-06-08 14:23 x
素敵な童話です。最後は悲しいけれどドーデの「風車小屋だより」全部読みたくなりました。この作家は、プロバンスにあるドーデの風車のドーデさんですよね。ドーデの風車は、旅行で行ったのですが、この本を読んでいたらもっと印象が違って感じたと思い残念です。
Commented by gabbyna at 2007-06-09 13:09
確かに中学校時代に読んだのですが、すっかりと忘れてました。思い出す為に読み直したくなりました。
しかし、絵が綺麗ですね。。
Commented by xthneh5d at 2007-06-10 07:53
Mrs.Wさん、こんにちは。
ハッピーエンドにはならないのは教訓話だからなんですね。
大阪に本当にいけるかどうかはそのときにならないと分からないんですよ。
なんといってもコブタ次第なので。
前回はダウンしちゃったし、今回は気をつけます。
Commented by xthneh5d at 2007-06-10 07:54
鍵コメさん、こんにちは。
はい、ちゃんとメモしておきます。
どうなるでしょうねー。
Commented by xthneh5d at 2007-06-10 07:56
nonnakaoriさん、こんにちは。
はい、そのドーデです。プロヴァンスの風車小屋に行かれたんですね。
帰ってきてからでも読むとまた印象が違うと思いますよ。
ぜひ図書館か本屋さんで探してみてくださいね。
私はこの話と法王さまとろばの話が好きです。
Commented by xthneh5d at 2007-06-10 08:02
gabbnyaさん、こんにちは。
私も学生時代に読みましたが、こちらに来てからまた読み直しました。
それから『最後の授業』も有名ですね。
この本はプロヴァンスの乾いた風とハーブの香りが漂ってきそうなお話がいっぱいです。